社員がうつ病になったら

50人に1人がうつ病を発症すると言われています。社員数が少ない会社でもうつ病を患う社員が1人2人いるかもしれません。

気分が落ち込む
・仕事に対する意欲や集中力が低下する
・仕事でミスが増える
これまで問題なく仕事をしていた社員に、突然このような特徴が目立ち始めたら、うつ病を疑った方がいいかもしれません。
しかしうつ病に思いを巡らせることができずに、つい叱ってしまったり励ますつもりで「もっとがんばれ」「君ならできるはず」などと、声を掛けてしまうかもしれません。このような行動はうつ病を悪化させてしまいます。

 上記のような状況が1日だけなら、たまたま「つらいことがあった」反応かもしれません。そういう時も、仕事には影響しますが、そっと見守る余裕がほしいです。

 その状況が3日以上続くようなら、うつ病を疑う必要があります。
 「圧」にならないように声をかけて状況をヒヤリングしましょう。
 本人も原因がわからないようなときは、うつ病の可能性が高いので、精神科に受診に行くように勧めましょう。しかし、

 ・本人が行きたがらない
 ・クリニックが予約でいっぱいでなかなか受診できない
ということもあります。
 その場合はご家族と相談するのも一つの方法です。

 うつ病と診断された場合、本人が「休みたい」と言ってくるケースと
「仕事は続けたい」というケースの両方が考えられます。
 まずは医師の診断書に従いましょう。
 「勤務困難」という診断にも関わらず、「休みたくない」という場合は、
就業規則に則り休職命令を出します。
あらかじめ対応可能な就業規則に改定しておきましょう

 なお休職については、
  ・業務の引き継ぎについて
  ・休職期間について
  ・休職期間中の給与について
  ・傷病手当金について
  ・社会保険料の負担について
  ・休職期間中の連絡方法について
  ・復職する際の手続きについて
 について説明をします。

休職期間や給与については、就業規則に基づいて説明しましょう。
うつ病で休職する場合、治癒期間がわかりません。
診断書には「3か月程度就業は避けるように」と書かれていても、3か月後に戻れるか不明です。
会社としては、いつまで休職が認められるのかを、事前にはっきりさせておくことが大切ですが、それがプレッシャーとなって治癒を妨げることもあります。対象者に寄り添って治療に集中できるようにしましょう。

休職期間中に給与が支払われない場合、
健康保険から傷病手当金を受給できる可能性が高いです。
受給条件や手続き方法についても、詳しく案内しておきます。

また給与が支払われないので、社会保険料、住民税を給与から天引きできません。
どういった形で支払ってもらうことになるのか、就業規則に基づいて説明しましょう。

さらに、休職期間中の連絡窓口を知らせます。
電話連絡は負担になることがあるので、
メール、郵便等を優先した方がいいかもしれません。

また、復職に関する説明も、この時点で一通り伝えておきましょう。

就業規則の規定だけでなく、復職については医師の判断が重要なポイントとなります。

主治医は患者の意に沿った診断書を作成することがあります。
必要であれば産業医契約をして、会社の指定する医師の診察を受けさせます。
産業医を紹介してくれる会社、団体もあります。

もし病状が長引き、休職期間が満了し退職となるような場合、将来に向けて情報提供をします。
 傷病手当金は最大1年6か月間もらえます。
勤続期間が1年以上ある場合、退職後も支給は続きます。
 また、1年6か月経過した時点で、症状が重い場合は障害年金の対象になります。
(支給されるかどうかは、年金機構の審査によります。)
経済的な心配点だけでも解消してあげましょう。

→ 傷病手当金、障害年金の手続きは当事務所にお任せください。

 また、うつ病の原因としてパワハラが考えられます。表面上何も内容でも、経営陣からわからないようにパワハラは行なわれます。
 次なる被害者を出さない為にもパワハラがないか、一度調査する必要があります。

2023年11月04日