FAQ一覧

社員が妊娠したら

 女子社員がいれば、「妊娠をした」と報告されることは少なくありません。その時会社が講じるべきことについてお話します。
1. 産前休暇開始の予定を相談する。
  妊娠を報告にくる時点で出産予定日は把握しているでしょうから、その日から6週 間前(多胎妊娠の場合は10週間前)から産前休暇の取得が可能です。そして産後休 暇、育児休業と続きます。
  体調が急変して予定より早くお休みに入りたいということもあります。急に休まれ ても困らないような体制整備が必要です。

2. 諸手続きの準備
  産前産後休暇や育児休業あるいは出産時においてそれぞれ協会けんぽ(または健康 保険組合)やハローワークでの手続きが必要になります。
 産前産後休暇 → 健康保険出産手当金(協会けんぽ)
          対象社員に休業中の間、給与の6割程度が支給されます。
          産前産後休業取得者申出書(年金事務所)
          対象社員の社会保険料か免除になります。(会社負担分含む)
 出産時    → 健康保険出産育児一時金(協会けんぽまたは健康保険組合)
          対象社員に出産育児一時金が支給されます。
          病院で手続きしてもらえることが多いです。
 育児休業   → 育児休業取得者申出書(年金事務所)
          対象社員の社会保険料か免除になります。(会社負担分含む)
          雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
          育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
             (いずれもハローワーク)
          育児休業給付金支給申請書は原則2か月ごとに申請。2回目以降
          は手続き時に渡される書類を使用します。

3. 代替要員の検討
    
4. 妊産婦特有のルールの確認
 ・育児時間(1日2回各30分)を請求できます。(無給でOK)
 ・解雇禁止 産前産後休暇およびその後30日間は解雇できません。
 ・危険業務の禁止 重量物の取扱い等が禁止されます。
 ・軽微な作業への転換 対象社員から請求があれば軽微な業務に転換しなければなり  ません。
 ・残業等の禁止 対象社員から請求があれば残業や休日出勤をさせてはいけません。

5. 助成金の確認
  育児休業は助成金の対象になることがあります。
 ・規定に沿った制度運用
 ・代替従業員の雇用
  それぞれ最大60万円の助成金を受けることができます。ポイントは実際の「育児 休業」が始まる間に動くことです。つまり従業員から妊娠の報告があった時点で計画 を立てましょう。

2023年11月03日

固定残業手当を導入したい

固定残業手当導入手順
 1. 社員の同意を得る
 2. 直近1年の残業時間を確認する。
 3. 2を参考に固定残業手当として設定する残業時間を決める。
 (36協定は必要です。月30時間なら年間360時間に、月45時間なら年間54  0時間になります。協定の範囲内で定めましょう。)
 4. 社員ごとに3の時間残業したものとして残業手当を計算する。
 5. 端数を整えるなどして固定残業手当金額を確定させる。
 6. 社員に制度導入の周知を行う
 7. 個別に給与額(固定残業手当を含む項目ごとの金額)と含まれる残業時間を明示  する。

固定残業手当導入のポイント
 1. 何時間分の残業を含むのか明確にする。
 2. 勤怠管理は省略しない
 3. 設定時間を超過した残業手当は支給する
 4. 給与項目を「固定残業手当」等わかりやすい名称にし、基本給には組み込まない
 5. 就業規則、あるいは給与辞令等で「〇時間分の時間外手当を含む」と明記する。
  4の基本給に含む形態で支給する場合、労働基準監督署の調査が入ったときに残業 手当としての支給を否認され「残業手当を含んでいるはずの基本給」をベースにさら に残業代の支給を命じられたケースもあります。
 
仕事がそんなにないはずなのに社員の残業時間が多い(残業手当が高い)場合

 労働者にとって「残業」というものは最初のうちは嫌なものです。1日8時間という労働時間が決められているのに、9時間、10時間と働かされるわけですから嫌がるのは当然です。
 しかし残業が定例になってくると、社員の気持ちも変化してきます。残業代が支給されるので収入が増えます。それが毎月のようになると、その増えた給料が「私の給料」になっていきます。逆に残業がなくなると「給料が減った」感覚になり、給料を取り戻すために残業をするということになり、無理に仕事を作ってでも残業をする社員も出てきます。中には会社にいるだけで仕事もしないで残業申請をする問題社員もいます。
 仕事がそんなにないはずなのに残業が多いケースとしては
  1. 上記のように生活費を稼ぐための残業
  2. 誰かの残業に付き合っている残業
  3. 上司が帰らないから帰りにくくて行う残業
  4. 当人の仕事の能力が低い、要領が悪い。
などが考えられます。
2と3については、もしかしたらそういう社風、暗黙のルールになっているかもしれません。ミーティング等で注意していきましょう。1についてもミーティングで注意して解消されることもありますが、「仕事がある」と反論され押し問答になってしまうかもしれません。その場合有効なのが「固定残業制」です。
 とある会社で、月平均30時間程度の残業があったため、30時間分の固定残業手当を支給することにしました。当初の目的は「給与計算の合理化」です。本来30時間分の固定残業手当を支給していたとしても、30時間以上残業した場合はその超過分を支給しなければなりません。しかしその会社は勤務時間の集計すらやめてしまいました。法律的にはアウトですが、確かに給与計算事務はスリム化されました。
 数カ月経過すると想定外のことが起きました。みんな毎月30時間程度は残業していたのに、徐々に定時で帰る日が多くなり、勤務時間を集計してみると10時間も残業していません。つまり「残業してもしなくても給料が同じなら残業しないで自分の時間が欲しい」ということです。それで生産性が落ちたかというと、大して変わっていません。それまで頑張れば8時間でできる仕事を9時間10時間と延ばして仕事をしていたわけです。
 結局その会社は、しっかりと成果を上げられる人には昇給して、そうでない人には降給を含めて厳しく対処し、固定残業制を廃止しました。今も多い人でせいぜい10時間程度の残業で済んでいます。

2023年11月03日

社員を採用したい

新卒採用
 小さな会社で知名度ゼロでも、予算をあまりかけなくても、優秀な人材は採用できます。
1. ターゲットを明確にする。
2. ターゲットのいる学校の就職課にきちんと挨拶に行く
3. 求人票に会社の特長を盛り込む

 採用、特に新卒採用は学生という「消費者」に会社という「商品」を売り込むようなもの。マーケティングをしてセールスをします。ターゲットを決めるときあまり固定観念にとらわれると、知名度の低い会社は失敗します。例えば「女性は結婚出産したら辞めちゃうからなぁ」と男性だけに絞ってしまうと、優秀な女性をすべて除外してしまいます。

 私はサラリーマン時代、採用業務を担当していました。500人規模の会社ではありましたが、学生からは無名の会社でした。リクナビだけは掲載させてもらえましたが、「費用をあまりかけたくない」という方針の下、「いかに費用をかけずに優秀な人材を集めるか」といろいろな工夫をしました。結果として、経営陣が欲しい人材を欲しい人数を採用することができました。後に私の部下となって私のノウハウを引継いだ女子が同様に成果を出し、そのノウハウを出版社に持ち込んだところ1冊の本が出版されるに至りました。
 私とその部下が結婚することになり退職することになると、同社は急に採用に費用をかけ始めましたが、必要な人材を集められなくなったと聞き、自分たちがやってきたことは間違っていなかったと確信しました。

中途採用
 中途採用サイトを使っても応募がない。紹介会社はコストが高い。
 そんな無駄な費用をかけなくても優秀な人材はいます。
 ハローワークは、応募者からは「いい会社がない」、会社からは「いい応募者がいない」と敬遠されがちです。しかし応募者が「いい会社がない」と思っている中で御社を見つけたらきっと「いい会社見つけた!」となります。
 あとは「見つけられ方」の工夫だけ。大丈夫、御社ならできます。

 


2023年11月03日

ハローワークから「障害者を雇用しなさい」と言われたら

 採用手法としては、ハローワークの「障害者雇用枠」に募集をかけると、そんなに好条件出なくても、そこそこ応募はあります。
「障害者」とひとくくりにしてしまうと見誤ります。障害者の中には
  1. 仕事ができることを認めてほしい人
  2. 障害者だから多少は大目に見てほしい人
  3. 障害者なので、仕事はできなくて当然の人
 などいろいろな考え方を持った人がいます。3の人は絶対に採用してはいけません。周りに悪影響をもたらすうえ、障害者に対する偏見も醸成させてしまいます。
2の人は難易度の低い仕事がある場合は採用してもそれほど問題にはなりません。
1の人はむしろ採用した方がいいかもしれません。

また能力的に人それぞれです。
 1. 全く問題のない人
 2. 多少は劣るけど許容範囲の人
 3. かなりレベルが落ちる人
 こちらも3の人は採用できません。
ただ問題なのは、特に前半の「仕事に対する意欲」は面接ではなかなか見抜けません。健常者も同じですね。
試用期間やトライアル雇用期間はものすごく頑張るのに、
正式採用されると本性が出る人もいます。

 民間企業の法定雇用率は2.3%です。従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。0.5人というのは短時間労働者を0.5人とカウントするため、見た目妙な数値になっています。現実的には今のところ法定雇用率を未達成の企業のうち、常用労働者100人超の企業から、障害者雇用納付金が徴収されます。また、従業員数が多くなるにつれ、障害者雇用必要人数も多くなりますので、一人も採用していないとハローワークからの圧が加わります。私のサラリーマン時代の経験ではハローワークの担当者によってその圧は結構違います。が、一度圧をかけられると、少なくとも一人採用するまでかなりのプレッシャーをかけられます。
 したがって障害者雇用も必須のものとなります。
 また障害者支援者の立場からすると、やる気のある障害者にはチャンスを与えてほしいと切に願っています。一方、「私は障害者だから仕事はできなくて当たり前、でも給与はちゃんと欲しい」と福祉慣れしてしまっている障害者もいるのは否定できません。その中で
しっかりと面接で見極め、「やる気のある」障害者を採用していく必要があります。
障害者雇用は、多くの場合助成金の対象になります。最初1年ぐらいの人件費は実質0で済むかもしれません。

2023年11月03日

パワハラが発生したら

もし、パワハラが発生した、疑わしき報告あったらどうしますか?
1. 事実関係の確認
2. 証拠の収集
3. 加害社員からのヒヤリング
4. 被害社員の証言、周囲の社員からの証言、加害社員の言い分の整合性を確認
5. 加害社員への懲戒処分

パワハラがあったからと言って、一方的に決めつけて処分をしてしまうのは危険です。加害社員とされている社員の言い分もしっかりと聞きましょう。また、典型的には上司から部下へのパワハラが一般的ですが、部下が「パワハラ」を武器に上司にパワハラをする事案もあります。先入観にとらわれずに状況に向き合いましょう。
 パワハラがあったことが確定しても簡単には「懲戒解雇」はできません。もちろん就業規則に則った懲戒処分はできますが、解雇となると裁判で覆されてしまうことが少なくありません。できるだけ合意退職に持ち込みましょう

2023年11月03日

やる気のない社員がいる

能力の低い社員、やる気のない社員の対応

 しっかり面接をしたつもりでも、口のうまい人には騙されます。それでも簡単に解雇というわけにはいきません。手順を踏んでご退場いただきましょう。
 1. 現状の確認(本人がやりたい仕事、スキル、周辺環境)
  例えば親の介護で仕事が集中できない、などの要因がある場合は勤務時間を短縮さ せるなどの対策も打てます。
 2. 異動等の検討
  「能力が低い」場合、他の適性を探さないと後々その評価を否定されかねません。
 3. 指導体制の整備
  できるだけ複数の指導者がいる状態を作ります。一人だとその指導者のせいにされ かねません。
 4. 業務日報の作成
  指導側が「何を指導したか」を記録するのも大切ですが、本人が「何を指導されて いるのか、自分には何が足りないのか」を自認させます。
 5. 定期的な面談
  指導者もお忙しいとは思いますが、2週間に一度くらいは時間をとり、しっかりと 面談します。

 仕事ができない、やる気がないというだけで解雇にはできません。
私が以前勤務していた会社でやる気のない社員に対し、キレた上司が「クビだ!」と宣告して帰らせました。数日後その社員は弁護士を連れてきて結果的に「解雇取消、休んでいる間の給料補償」をさせられました。
 もちろん教育して戦力化できるのが良いのですが、辞めさせるとしても本人の合意が必要です。そのためには「自分が戦力になっていない、会社に迷惑をかけている」ということを自認させる必要があります。
(それでも辞めない猛者もいますが…)

2023年11月03日

社員がうつ病になったら

50人に1人がうつ病を発症すると言われています。社員数が少ない会社でもうつ病を患う社員が1人2人いるかもしれません。

気分が落ち込む
・仕事に対する意欲や集中力が低下する
・仕事でミスが増える
これまで問題なく仕事をしていた社員に、突然このような特徴が目立ち始めたら、うつ病を疑った方がいいかもしれません。
しかしうつ病に思いを巡らせることができずに、つい叱ってしまったり励ますつもりで「もっとがんばれ」「君ならできるはず」などと、声を掛けてしまうかもしれません。このような行動はうつ病を悪化させてしまいます。

 上記のような状況が1日だけなら、たまたま「つらいことがあった」反応かもしれません。そういう時も、仕事には影響しますが、そっと見守る余裕がほしいです。

 その状況が3日以上続くようなら、うつ病を疑う必要があります。
 「圧」にならないように声をかけて状況をヒヤリングしましょう。
 本人も原因がわからないようなときは、うつ病の可能性が高いので、精神科に受診に行くように勧めましょう。しかし、

 ・本人が行きたがらない
 ・クリニックが予約でいっぱいでなかなか受診できない
ということもあります。
 その場合はご家族と相談するのも一つの方法です。

 うつ病と診断された場合、本人が「休みたい」と言ってくるケースと
「仕事は続けたい」というケースの両方が考えられます。
 まずは医師の診断書に従いましょう。
 「勤務困難」という診断にも関わらず、「休みたくない」という場合は、
就業規則に則り休職命令を出します。
あらかじめ対応可能な就業規則に改定しておきましょう

 なお休職については、
  ・業務の引き継ぎについて
  ・休職期間について
  ・休職期間中の給与について
  ・傷病手当金について
  ・社会保険料の負担について
  ・休職期間中の連絡方法について
  ・復職する際の手続きについて
 について説明をします。

休職期間や給与については、就業規則に基づいて説明しましょう。
うつ病で休職する場合、治癒期間がわかりません。
診断書には「3か月程度就業は避けるように」と書かれていても、3か月後に戻れるか不明です。
会社としては、いつまで休職が認められるのかを、事前にはっきりさせておくことが大切ですが、それがプレッシャーとなって治癒を妨げることもあります。対象者に寄り添って治療に集中できるようにしましょう。

休職期間中に給与が支払われない場合、
健康保険から傷病手当金を受給できる可能性が高いです。
受給条件や手続き方法についても、詳しく案内しておきます。

また給与が支払われないので、社会保険料、住民税を給与から天引きできません。
どういった形で支払ってもらうことになるのか、就業規則に基づいて説明しましょう。

さらに、休職期間中の連絡窓口を知らせます。
電話連絡は負担になることがあるので、
メール、郵便等を優先した方がいいかもしれません。

また、復職に関する説明も、この時点で一通り伝えておきましょう。

就業規則の規定だけでなく、復職については医師の判断が重要なポイントとなります。

主治医は患者の意に沿った診断書を作成することがあります。
必要であれば産業医契約をして、会社の指定する医師の診察を受けさせます。
産業医を紹介してくれる会社、団体もあります。

もし病状が長引き、休職期間が満了し退職となるような場合、将来に向けて情報提供をします。
 傷病手当金は最大1年6か月間もらえます。
勤続期間が1年以上ある場合、退職後も支給は続きます。
 また、1年6か月経過した時点で、症状が重い場合は障害年金の対象になります。
(支給されるかどうかは、年金機構の審査によります。)
経済的な心配点だけでも解消してあげましょう。

→ 傷病手当金、障害年金の手続きは当事務所にお任せください。

 また、うつ病の原因としてパワハラが考えられます。表面上何も内容でも、経営陣からわからないようにパワハラは行なわれます。
 次なる被害者を出さない為にもパワハラがないか、一度調査する必要があります。

2023年11月04日

労働基準監督署の調査が入ることになったら

労働基準監督署の調査は4つの種類があります。

(1) 定期監督
  ランダムに抽出された企業を調査します。小さい会社だからといって対象外になる わけではありません。

(2) 申告監督
  主に従業員からの告発があった場合に調査します。肌感覚ですが、「残業代未払」 や「有休を与えない」という告発が多いようです。退職者からの腹いせ告発もありま す。珍しいケースでは、従業員の親から「娘の帰りが遅い。長時間残業させられてい る」として調査に入った例もありました。結局娘が自己啓発のために会社で勉強して いたのが原因ですが、会社はいい迷惑です。告発する前に「親子で話せよ」と思いま した。

(3) 災害時監督
  大きな労働災害が発生した時に調査が入ります。

(4) 再監督
  1回目の調査で出される是正勧告書に対し、期日までに是正報告書を出さないなど 企業側の対応が不十分、不誠実な場合に再調査されます。

 労働基準監督署の調査は「予告なし」を原則としていますが、「担当者がいない」
「資料は倉庫に保管している」などの理由で調査が進まないことがあるため、多くの場合日時指定して調査に入ります。
 経営者または担当者の都合でその日では都合が悪い場合は、日程調整は可能です。

もし、予告なしで調査に来たら

 下手に隠すと、「違法行為をしている」と返って疑われます。出せる書類については隠さず提示しましょう。
 何か問題があれば、是正勧告書や指導書に記載されます。内容に誤りがなければ署名して受領するしかありません。
 その後で社会保険労務士に相談しましょう。

当事務所にご相談ください
 労働基準監督官が納得してくれる是正報告書を作成するところまで全力サポートいたします。

もし、調査の予告連絡が届いたら

当事務所にご相談ください。

 日程を調整し、調査が入る前に御社の労務管理状況を確認します。それを基に想定問答集を作成し、調査当日も立ち合います。
 それでも是正勧告等がなされた場合には、労働基準監督官が納得してくれる是正報告書を作成するところまで全力サポートいたします。

 

2023年11月04日